商人の道

   日本の経営会議で全体最適の話をして終えたが、商売というのは本当に奥が深い。リスクをなるべく取らずに個人商店で地道にやる方法もあれば、レバリッジを効かせて大きな商売に出る方法もある。何が正解かと言えば、その人にあった手法を取るべきだが、一方大きく出れば成功した時にそれだけのリターンと栄誉を得ることが出来る。とは言っても失敗もするので、なるべく周りの人に迷惑をかけないようにした方がいい🤔

   私は生涯一商人として生きる選択をしたが、改めて何故そこに至ったか常に原点を心に刻んで歩みたい。商人道の出会いは、次の詩が強烈な印象を与えた事が記憶にある。

 

「商人の道」

    農民は連帯感に生きる。商人は孤独を生甲斐にしなければならぬ。総ては競争者である。

    農民は安定を求める。商人は不安定こそ利潤の源泉として喜ばねばならぬ。

    農民は安全を欲する。商人は冒険を望まねばならぬ。絶えず危険な世界を求め、そこに飛びこまぬ    商人は利子生活者であり隠居であるにすぎぬ。

    農民は土着を喜ぶ。大地に根を深くおろそうとする。商人はどこからでも養分を吸い上げられる浮草でなければならぬ。その故郷は住むところすべてである。自分の基所はこの全世界である。先祖伝来の土地などという商人は一刻も早くそろばんを捨て、くわを取るべきである。

   石橋をたたいて歩いてはならぬ。人の作った道を用心して通るのは女子子供と老人の仕事である。我が歩むところそのものが道である。他人の道は、自分の道でないということが商人の道である。

 

   この出所はよく分からないが、これは私の幼少時代に「人生到る所に青山あり」と国語の先生より教わった記憶と重なる。これは江戸時代の僧、釈月性の詩「男児志を立てて郷関を出ず、学若し成る無くんば復還らず、骨を埋むる何ぞ墳墓の地を期せん、人間到る処青山あり」から来ていて、正式には人生ではなく人間(じんかん)だった😅

   いずれにせよ海外で道なき道を歩んでいるのは、こうした気概を言葉で知った事が大きい。勿論これだけでなく、商人は人と人との間に立って役に立つ職業であり、士農工商身分制度で地位を低められて来たものの、実際は街を豊かにしたのは商人であり、いくらいい物があったにしても売る人がいなければ何の価値もなかった。そんな商人道に誇りを持ち、武士道の権威主義とは一線を画す「三方よし」と言った理念を何故もっと日本人は知らないのかと興奮し、30代後半で私の志は固まったと言える。大阪船場で働いた事はこの上ない貴重な体験だった👌

   最後に話が違うようだが、案外私はリスクマネジメントも好み、ただの無謀な事業はしない。人からはどう思われてるか分からないが、目立ちたがり屋でもない🤣

   このブログを読んでるだけでは何のことか分からないかもしれないが、それについては又別の機会にでも是非👋