宇沢弘文という経済学者

    偉人の話や本大好きですが、久しぶりに最近熱中した偉人に宇沢弘文という方がいます。私の環境問題の意識が高くなったのは色んなきっかけがあったのですが、経済学者で公害問題に取り組んだ人という史実が私の興味をそそり、経済学に人間の心や道徳倫理を取り入れたようです。「資本主義と闘った男」という本に詳しく書かれていますが、世界の名だたる経済学者と並び立つ存在だったとの事です🙆‍♂️

   印象的だったのが、ベトナム戦争時の話です。アメリカでは経済学者が政治に関与し、爆弾の量や死傷した共産側の人数など統計データを用い、効率的かつ経済的な手段で戦争を行った実態を見て、宇沢弘文氏は衝撃を受けたと言います。1965年から73年の間に1400万トンを超える爆弾をインドシナ半島に投下し、その量は第二次世界大戦の2倍を超えました。枯葉剤の影響も深刻で、下半身がつながったまま生まれた双子の「ベトちゃんドクちゃん」で広く知られましたが、被害者は100万人にも達したと言います。経済学の実用目的としては最悪です。

    40歳になってアメリカから日本に戻った宇沢弘文氏は、日本の高度経済成長の陰に隠れた領域に惹きつけられました。市場原理主義的な資本主義に対して、水俣病を筆頭とする公害問題など外部不経済を「社会的共通資本」として確立させる動きを取ったのです。1974年に「自動車の社会的費用」というベストセラーも発刊しています。自動車が発生させる「見えない社会的費用」を算出したのです。幼少の頃大気汚染にあって喘息持ちだった私には、大いに共感を呼ぶ取組みです。

   そんな宇沢弘文氏も10年ほど経済学と別れた時期があったようです。現実とのギャップがあまりに大きかったと言いますが、10年というのは大きな沈黙です。公害や環境の破壊といった現実のショックだけでなく、理論経済学者に限界を覚えたらしいのです。挫折だったのではないでしょうか?

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   話は大きく変わりますが、韓国のBTSという芸能事務所が上場し大きなニュースになってます。私はインドネシアで仕事するようになり、中国と並んで韓国の強さをまじかに見てきました。日本人は中国人にも韓国人にも海外で圧倒されているのです。何が違うかというと海外で戦う姿勢です。彼らは最初から世界を見ています。日本人はまだまだ国内に閉じこもっているケースが多いのではないでしょうか?

    私は今回宇沢弘文という経済学者を知って非常に誇らしく感じました。若くして世界を渡り歩き、アメリカの経済学者とも対等に理論経済を戦った人が日本にいたのは、非常に素晴らしい事です。2014年に道半ばで亡くなられましたが、その遺志はこれからも継がれていくと思います。

    経済学という、私にとってかなり高度な分野でのブログになりましたが、日本は経営にも道徳を取り入れた崇高な国です。人間の心を経済学に持ち込んだって隠れた偉人であるのは間違いありません。少しでもそうした人を紹介出来たら幸いです。

    今日はこんな所で👋